秋の食材で健康維持〜乾燥対策〜

実りの秋。行楽の秋。食欲の秋。

過ごしやすく、楽しみも多い季節ですが、空気の乾燥に要注意の時期でもあります。
肌がカサついたり、風邪をひきやすくなりがちです。
そうなる前の、身体の中から潤おわせる、秋の健康法をご紹介します。

「燥邪」という言葉をお聞きになられた事はありますか？
「燥邪」とは中医学の五行説の言葉で、人体に及ぼす、乾燥による悪影響を意味します。
この燥邪によりダメージを最も受けやすいのが、肺はじめとする呼吸器系です。
中医学で言う「肺」とは、単に肺臓だけではなく、鼻・喉・気管支・皮膚呼吸する皮膚も含め、広い意味での呼吸器系を示します。

「肺」は、呼吸だけでなく免疫機能、体温調節、体液の代謝などの働きにも携わっています。
健康な状態であれば、肺は体液の水分により充分に潤っており、各機能も正常に働いてくれます。

しかし、ストレス・睡眠不足・栄養不足などによって抵抗力が落ちると、乾燥による悪影響を受けやすくなります。
・喉の乾き
・血行不良による冷え
・乾燥肌
・ドライアイ
・足腰のダルさ
・便秘
・髪のパサつき　　　　…etc

秋の養生法〜食事で予防〜

「医食同源」という言葉がありますが、季節の旬の食べ物には、あらゆる病気を予防する働きがあります。
日々の食生活に、秋の乾燥にたいする抵抗力をアップさせる食材を取り入れてみて下さい。

梨

約90％も水分が含まれており、乾燥しがちな秋には最適な食材と言えます。
特に梨の皮は、肺や喉に潤いを与える働きがあり、咳止めの生薬としても用いられます。
皮は剥かずに、よく洗って皮ごと食される事をオススメします。
また、クエン酸・リンゴ酸・アスパラギン酸といった疲労回復に有効な成分や、血圧を低下させるカリウムも含まれています。

リンゴ

イギリスには『一日一個のリンゴで医者いらず』ということわざがあります。
梨と同じく、多くの水分が含まれているので乾燥対策はもちろん、リンゴ酸・クエン酸が含まれているので、疲労回復効果があります。
100種類以上のポリフェノールは老化防止・美肌効果にも。
そして、何と言っても最大の効能は整腸作用！
まず、食物繊維が多く含まれています。
次に、皮の部分に含まれるタンニンとペクチンが腸の粘膜を保護してくれます。
便秘の方には、特にオススメです。
食べ方は、もちろん梨と同じく皮ごと。よく洗ってからお召し上がり下さい。

ぶどう

美肌や疲労回復にも効果的なぶどうの歴史は古く、紀元前3000年にはカスピ海沿岸などで栽培されており、その種類は一万種以上にものぼります。
糖質には、ブドウ糖・果糖・クエン酸。
果汁には、ビタミンはA・B1・B2・C。
その他、カリウム・リン・鉄分などのミネラルも含有しています。
また、アントシアニンやカテキンといった若返り成分〝ポリフェノール〟は、お肌の大敵である活性酸素を無くす働きがあり、シワやシミ対策にも有効です。
また、ブドウ糖は体内に入って即、エネルギーになるので疲労回復に心強い味方です。

柿

「柿が赤くなれば医者が青くなる」と言われるほど、柿には豊富な栄養が含まれています。
風邪や乾燥肌に有効なビタミンC。
美肌に欠かせない抗酸化作用の強いポリフェノールは、なんと！ぶどうの5倍も含まれています。
余分な塩分を排出させるカリウムは、ムクミ解消に、とても有効。
二日酔いにも最適！ビタミンCとタンニンはアルコール分の排出し、カタラーゼという物質はアルコールの酸化・アセトアルデヒドの分解を促します。

里芋

他のいも類と比べ、水分が多いのが特徴なので、乾燥する秋に最適な食材です。
里芋のヌメリは〝ムチン〟と呼ばれる成分で、胃腸などの粘膜保護の他、瞳の潤いを保つ働き・疲労回復効果があります。

銀杏

咳を鎮め痰を取り除く働きがあるので、空気の乾燥により喉を痛めやすい方や、喘息の方には特にオススメです。
その他、美肌効果や血圧降下、利尿作用も期待出来ます。

牡蠣

牡蠣に含まれる亜鉛には、皮膚の新陳代謝を高めて再生を促す作用があるので、乾燥する季節に起こりがちな肌あれなどのスキントラブルを改善させます。
また、硫黄を含んだアミノ酸も多いので、お肌に潤いを与えてくれます。
その他、造血作用のあるビタミンA・B1・B2・B12が多く含まれるので、貧血気味の方にもオススメです。

秋の栄養管理は、冬の寒さに備えになります。
旬の食材を楽しみながら、上手に乾燥から身を守りましょう。