2022年11月21日 / 最終更新日時 : 2022年11月21日 biz セルフケア

腰痛の原因は脳!?〜意識で痛みを解消〜

デスクワーク、立ち仕事、肉体労働、運転、移動、家事、育児などで腰を痛めてしまう方は多くいらっしゃいます。
その腰痛の原因が実に意外な箇所にある事は、まだ多くの人に知られていません。

ここに非常に興味深い研究結果があります。
2011年にカナダ・マギル大学の発表によると、半年以上の腰痛に悩む患者18人を徹底研究したところ、全員に共通した部位に異常が発見されました。
その部位とは・・・なんと！！『脳』だったのです。

実は脳には〝DLPCF〟という部分があり、神経細胞の興奮を鎮める司令を出す役割を果たしています。
慢性腰痛の人は健常者に比べ、この〝DLPCF〟の体積が極端に減っており、活動だ衰えている事が分かったのです。

腰痛には
①特異性腰痛
②非特異性腰痛
という二種類に分ける事が出来ます。

①は椎間板ヘルニアや脊柱狭窄症、怪我による外傷など原因が明確なもので全体の15%を占めます。
②は原因が明確でない腰痛で残りの85%に当たります。

つまり、ほとんどの腰痛は原因がはっきりわからないのです。

ちなみに現在、日本の多くの病院ではレントゲンやMRIによる画像による診断が主流。
・椎間板の形状に異常が映っていると椎間板ヘルニア
・背骨の中の脊柱管という神経系の通り道の形状が狭く映っていると脊柱管狭窄症
といった具合。

これらの診断名を聞かされれば怖い印象を抱きがちですが、必ずしも心配しすぎることはありません。
医者から聞かされることはあまり無いと思いますが、実はヘルニアの9割は自然に消滅する、というデータもあるのです。
そもそも、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症といった現象が痛みの原因ではない場合も多くあります。
実は、こういった状態でも全く痛みを感じない人の方が圧倒的に多数派でなのです。

こうした画像診断で何も映っていないと
「特にこれといった原因は見られません。疲労が腰にきているのですかね？痛み止めと湿布を出しておきます、安静にしておいてください。」
と言われて終えわる事も多々あります。

いずれにせよ、安静にして治ってしまえば良いのですが、それでも治らずに長引いてしまう場合もあります。
腰痛を抱えると氣分まで沈みがちになってしまうし、運動不足により更に違う病気を引き起こす可能性も考えられます。

では、どうすれば良いのか？
まず『腰痛には絶対安静』という概念を疑ってみる事です。

そもそも腰痛というのは、あくまで一つの結果であり現象です。
現象が起こったからそこだけ切り取れば良い、という短絡的な発想では根本的な問題解決には至りません。
・頭痛がするから鎮痛剤を飲む
・熱が出たから解熱剤を飲む
・腫瘍が出来たから切り取る
というのは西洋医学的な発想。
表面化した自分にとって都合の悪い事態だけを消してしまえば良い、とする考え方。

例えるならば、出来栄えの悪いりんごの実がなったら、その実だけをもぎ取って捨てよう。
一つや二つならそれでも良いかも知れませんが、あまりの多いのであれば、根本的な問題を考えるべきでしょう。
実は木の幹が病気なのかも知れないし、根がしっかりと張っていない可能性、土壌が痩せている、などの根本的な原因、という可能性もあるでしょう。

腰痛の場合であれば、多くの原因は姿勢。
歩き方・立ち方・座り方。
誰もが何気に歩く・立つ・座るという事をしているわけですが、身体に余計な負荷をかけないでそれをこなす方法を日々意識して行動している人は極めて稀でしょう。

そして、悪化を恐れ運動不足になると
・痛みを逆に長引かせてしまう
・更に悪化させてしまう
・全身の筋肉が衰えて何らかの病を引き起こす
という本末転倒な事態も少なくありません。

ここで一つ、興味深いデータをご紹介します。
1997年にオーストラリアで行われたテレビ番組・CMを活用した腰痛対策。
この当時、腰痛による休職者や労災が蔓延により頭を悩ませていた国家は、
『腰痛に屈するな！』
『腰痛は怖くない！』
『腰痛があっても動いて構わない！』
という旨のマスメディアキャンペーンを大々的に放映。
これにより、医療費は労災申請件数は15%削減、動けなかった人の復職の効果も含めると、実に経済効果は70億円にも至りました。

なぜ、このキャンペーンがこれほどまでの結果にまで及んだのか？
その多くは、恐怖心が心理的に緩和された事にあります。
〝病は氣から〟という言葉がありますが、〝腰痛も氣から〟と言っても差し支えありません。

腰痛を治したければ痛みと戦わない。
痛みを悪者にして戦ってしまうと、ますます痛みは増大します。
痛みや病を治そうとする事と健康体に戻ろうとする事は全く別。

重力と仲良くする。
身のこなし方を改善すると共に、気持ちを前向きにする。
痛みを気にしていると自然と前かがみになってしまったりして余計に姿勢が悪くなりがち。
痛みを気にするのではなく、痛く無い事を気にする、
楽で快適な立ち方、座り方、歩き方を習慣化できれば自然と痛みが消えていく、という不思議な現象が体感できるのです。